君の声に溺れる




◇◆◇


 三学期の初め頃に、席替えをした。黒板から二列目の窓際の席になった。

 隣の席に、無口な男の子がやって来た。


『私、相原ゆきっていうの、よろしくね』


『……笠原涼介、です。よろしく』


 きっと誰が見たって普通の、他愛もない会話だった。でも、私にとっては、そうじゃなかった。
 きっとその瞬間、私は、自分でも不思議なほど、笠原涼介くんの声に溺れてしまっていた。


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