君の声に溺れる



 パチリと目を開ける。懐かしい夢の余韻がまだ残っていたからなのか、しばらく動かないままボーっとしているうちに気がついた。何だかすごく、体が痛い。
 それに、目の前が暗くて……誰かいる?


「相原さん、起きた?」
「△※○■!?!?!?!」


 言葉にならない奇声を発して勢いよく飛び起きると、そこはなぜか先生も生徒もいないからっぽの教室で、しかも目の前にいたのは笠原くんだった。

 何だこれ!私はまだ夢を見てるのか!?

 慌てふためく私に笠原くんまでもがあわあわとしている。


「ごめん、起こそうか迷ったんだけど、すごく気持ちよさそうに寝てたからそっとしておいたんだ……。そしたら、放課後になっても相原さん全然起きてくれなくて……」


 朧気な記憶を辿って最後に思い出せたのが昼休みまでの記憶だった。いつもみたく友達がバレンタインのチョコをたくさんくれたので、調子に乗って食べていたらすっかりおなかいっぱいになってそのまま午後の授業を受けたらだんだんと眠気が襲ってきたところで記憶は途絶えている。
 つまり私は昼休み後の授業から一度も目覚めることなく爆睡をかましてしまったということで。そして笠原くんにそれを見られてしまったわけだ。
 私は、今世紀最大の恨みを込めて昼間の自分をぶん殴ってやりたくなった。

 頭を抱えてうずくまる私をじっと見つめる笠原くんの視線をひしひしと感じる。
 こんな時間まで付き合わせてしまったのだ、うんざりされても文句は言えない。


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