龍瞳ーその瞳に映るもの
この場所を見つけてよかった。

しばらくすると当たり散らしながら
ホテルから出てきたあの男の人。

散々、フロントで文句を言っても
気が治る事がなく、地面を足で蹴り
近くにあった植木鉢にも当たり散らす。

あんなのに見つかったら大変だ。
ここからはよく見えないけれど
地面に叩きつけているのは私の服っぽい。

それにしても騒ぎ過ぎでだんだん焦ってくる。
お願いだから早く消えてと祈りながら
男の人の動向を見ていると
ふとこちらを向いた。

「ッ…」

飛び出しそうになった息を手で押さえ
それを飲み込んだ。

身を隠し息を潜め

1…
2…
3…

心の中でカウントして耳をすます。

足音は聞こえない。
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