龍瞳ーその瞳に映るもの
「お父さんに言ってやりたい。
ただそれだけ、最期の言葉を言ってやりたい」

復讐という感情が私を動かしていた。

「私はそうやって生きてきたの」

「そうか、わかった」

その声は泣きたいほど優しくて
存在すら忘れていた涙を呼び覚ます。

悲しいわけじゃなくて開放感。
ずっと堰き止めていたモヤモヤを
吐き出せた事で流れた涙。

「俺の話も聞いてくれるか?」

そんな私を抱きしめてくれるアズは
顔を隠した髪を耳にかけながら
そう言った。

あの日から待ち望んでいた温もりに
体が震えだす。

「き、聞きたい」

どんな言葉でもいい。
アズを知りたい。
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