龍瞳ーその瞳に映るもの
けだるい朝、ふと思い出した
アズの背中にある傷跡。

アズに翻弄されながら
ふれたその場所を私の指は覚えている。

「そこに触れていいのはお前だけだ」

触れた時、一瞬反応したアズはそう言った。

「俺の戒めだからな」

「戒め?」

「あぁ、そうだ」

ゆっくりとその戒めに指を這わせる。

母親につけられた傷。
詳しい事はまだ言いたくないと拒んだ事実。

戒めがいつか違う形に変わるまで
私の指で慰さめる。

「ッ」

アズの指が動き出す。

「その代わり、
お前のここに触れるのも俺だけだ」

そんなの当たり前だって言う前に
アズに征服されている。


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