龍瞳ーその瞳に映るもの
疾走する風の中で頭に浮かぶのは
神に身を預けた恐怖や不安ではなく
今日までの日々のこと。
10年間365日が嘘だったと知った今日。

……

事故でお母さんが死んだ。
ひとりぼっちになった私に父親からの
連絡は入らなかった。

お母さんが死んだのを
知らないのかも知れないし知っていても
連絡しなかったのかも知れない。

それならそれでいいと今は思えても
あの当時はひどく傷ついていた。

もちろん、父親の連絡先など知らないし
8歳の私が頼るところは皮肉にも
唯一の親戚になる父親の兄夫婦だった。
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