龍瞳ーその瞳に映るもの
あ行から始まったのなら次はか行の
はずなのに、いきなり外人の名前になる。

しかも英語表記…

お得意様なのか顧客名簿なのか
覚えて何になるんだろう…
なんて疑問を持ったらやってられないから
リストの文字に集中した。

何かに集中するのは苦手じゃない。

「覚えたか」

そう声をかけられた時にはもう
朝になっていた。

外から中が見えないこの部屋は
太陽が昇った事を気づかせてくれない。

「たぶん、大丈夫」

復唱は二回した。

「じゃあ、テスト」

そう言って私の手からリストを取り上げ
クルクルと丸めた。

「野崎和夫の住所は」

三枚目の一番下にあった名前。

「大阪府住之江××××1丁目××番地」

「次、福岡市×××丁目2-×番地の住人は」

「…森本真弓」

同じような質問を10回された。
正解なのか不正解なのかは
教えてくれない。

「一番最後に書いてあったのは」

「神崎梓、名前だけ」

「ふっ、合格だ」

丸めたリストで頭をポンと叩かれ

「全部正解、優秀だ」とまた叩かれ。
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