イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「ちょっと、いい加減に助けてくれないと、恨むわよ!」

「うーん。仕方ないなぁ。そろそろ頑張るとしようか」

やっとやる気になったのか、軽く腕を回して柔軟なんかを始める。

『きゃっきゃっきゃっきゃっ――さぁ王子よ、最後の試練だ』

悪魔の声が聞こえ、流星の足元に一本の細い道の映像が浮かび上がった。
部屋の中を縦横無尽に這う道。その道が、流星の背後から徐々に闇に飲まれ消えていく。
流星は消えゆく道に追いかけられながら、部屋中を走り回ることを余儀なくされる。
しばらく走ったところで、部屋の中央、私の縛られている場所の目の前に、扉が現れた。
中央に辿り着いた流星が扉へ手をかざす。幻想的な光とともに、私と流星を隔てる物理的なガラス板が姿を消す。

「やっと出会えたね。お姫様」

王子様――にしてはちょっと意地悪な笑みを浮かべて、流星が私に手を差し出した。

「遅いよ」

不満を募らせながら、私はしぶしぶその手を取り、鳥かごの中から外へ出る。

見計らっていたかのように、周囲が暗転した。

「きゃっ!」

光一つ見えない暗闇。
酷く心細く感じて、繋いだ手だけを頼りにしがみ付く。

答えるように、流星の腕が私の肩を抱いた。
男性に抱きすくめられるという恐怖心が一瞬胸をよぎり、しかし次の瞬間には周囲を満たした光の渦に消し去られた。

それは息を呑む光景だった。
闇の中、無数に瞬く光の粒子。私たちを取り囲むように広がる満点の星空。
言葉にならないほど美しく、どこか儚い。
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