イジワル御曹司のギャップに参ってます!
え……

次の瞬間、明るい光が射して、世界が色を取り戻す。
そこは元居た大広間だった。
その中央で、私と流星はぎゅっと身体を、そして唇を、寄せ合っていた。

トクン、トクン、と。
いつもの光景を取り戻しても、鼓動の音は鳴りやまなかった。

やがて流星がゆっくりと私から身体を離し、なんだか名残惜しそうに呟く。

「終わり……かな?」

「……うん」

エンドロールが流れ始め、無事にお姫様を奪還することに成功した、という旨のアナウンスが響き、このイベントの終了が告げられた。

けれど。私の心の中はまだ終わっていなくて。

じんわりとした余韻と、唇の感触を残したまま、しばらくその場に動けずにいた。

どうやら流星もまだ状況の切り替えが上手にできていないらしく、艶やかな瞳が伏せったままである。

私は彼に見えないように、こっそりと指を唇に当てて、今起きたことを確かめた。

どうして?
流星は何故、私にこんなことをしたの?

もしも美しい光景と雰囲気に飲まれて、思わず隣にいた私に口付けてしまったんだとするならば。
なんて罪深いアトラクションなんだろうと思った。
< 105 / 227 >

この作品をシェア

pagetop