イジワル御曹司のギャップに参ってます!
語った流星の瞳に宿るものは――慈愛、とでもいうのだろうか。
そう、今彼が言った通りだ。誰かを愛おしいと、守りたいと思う気持ちが溢れ出ている。

繋がれている私の手を、もう一方の彼の手が隙間なく包み込む。
彼の感情が繋がれた手を伝って流れ込んでくる。

「あなたが隣にいたから、俺は感動することが出来たんだ。
……あなたは、俺と同じことを感じられているのかな?
それとも、こんなこと思ってるのは、俺だけ?」

「……それは、どういう……」

「分からない?
こんなにはっきりと態度で示しているのに?
あなたはときどき酷く、残酷だね」

流星が私の手を強く引いた。
身体がふわりと飛び上がり、彼の懐の中へと着地する。
すかさず、彼の手が私の背中に回る。

「あの暗闇の中で、俺を掴んでいてくれたよね?
あれは、どうして? 仕方なく? 俺は手すりと一緒?」

「……流星?」

「俺を頼ってくれてたんじゃないの?」

背中に回る彼の手に、力が込められる。
抗う私を鎮めるかのように、彼のもう一方の手が私の頭の後ろへ周り、ぎゅっと抑え込む。
彼の肩に顔が埋まった。

胸の奥が熱くなるのを感じる。
恐怖じゃない。でも息苦しい。鼓動が信じられないくらい身体を大きく打ち付けていて、振動となって彼に伝わってしまいそうだ。
今すぐ離れなきゃ、気がおかしくなってしまいそう。
私は必死に離れる言い訳を探していた。
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