イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「で、ですね、ここで実はもう一つ提案がありまして! 聞いてもらえる!?」

私は用意してきたもう一枚の資料を全員に配った。

そこには、大手宝飾品メーカー『星宝Lilia』の情報が記されている。
今回のクライアントとは全く関係のない、業種も業態も違う会社だ。

「ただのCMではつまらないかと思って。この大手ジュエリーメーカーとコラボレーション企画を持ち掛けようと思ってるの」

「却下だ」

すかさず氷川のダメ出しが入った。
予想通りだけれど、もうちょっと説明を聞いてからでもいいのではないだろうか。
なんだかむやみやたらに反対されているようで、苛々が募る。

「ただ綺麗なだけのCMなら、世の中に溢れてるでしょ? 特別な何か、プラスアルファがないと――」

「どうしてあなたは、面倒な方へ面倒な方へと突き進むのですか」

会議卓に身を乗り出す私を見て、氷川は沈痛な面持ちで頭を抱えた。

「『ジュエルコスメ』二十周年アニバーサリーイヤーの記念CMですよ?
何故他社を絡ませる必要があるんです」

「全く連携のないこの二つの会社が出会うことで生まれる相乗効果に期待できるんじゃないかと」

せっかく『宝石』というテーマを前面に押し出したCMになるのだ。
そのクオリティにもこだわりたい。
『星宝Lilia』は、二十代、三十代に人気のあるジュエリーブランドで、その年齢層は『ジュエルコスメ』のターゲットと一致する。
この二つの企業が協力し合えば、双方にとって最高の宣伝効果が見込めるのではないかと考えたのだ。
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