イジワル御曹司のギャップに参ってます!
何が言いたいのか察しかねている私たちを見て、小野田部長はクスクスと笑う。

「なに、君たちの不仲は、有名な話だからね。軽い配慮だよ。
私たち上層部は、君たちに協力関係を築いてもらいたいと願っている。
どちらが上になったとしても、支え合い助け合えるような、ね」

小野田部長はゆっくりと歩み寄ってきて、私たちの肩へ同時に手を置く。
頼んだよ、とでも言いうように。


はい、と返事をしかけた私を遮って。

「それは難しい相談です。小野田部長」

氷川が静かに口を開いた。

「私たちは、お互いの足りない部分を、補い合っているからこそ、相容れないのです。
仲が悪いくらいの方が、ちょうど良い」

私は驚いて氷川を見上げる。
そこには何の感情も宿らない、機械的な横顔があった。

今のは彼の本心だろうか。
私たちは仲が悪いものだ――そう諦めているのか。
これから先、理解し合ったり、歩み寄ることもない――
そんな関係で納得しているのだろうか。

小野田部長でさえ、絶縁宣言とも取れる氷川の物言いには驚かされたようだった。
「む……」喉を鳴らして難色を示す。

沈黙のあと、ふう、とため息を溢す小野田部長。
「……良きライバルとして切磋琢磨していると、プラスに受け止めておこうか」
ひょっとしたら部長ですら諦めたのかもしれない。
私たちが協力し合える、理想的な未来を。

部長は再び私たちの肩をぽんぽんと叩き労ったあと、静かに会議室から出ていった。
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