イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「私たちも行きますよ」

氷川がそっけなく言った。私の方を見ることすらしなかった。

「氷川さん」

「何です?」

呼び止めても私を視界に入れてはくれない。ぞんざいな返事だけ。

悲しさとか、虚しさとか、悔しさとか。
そういうものを通り越して、何かが吹っ切れた。

ああ、もういいや。
そんな風に思った。

二人で、新しいものを築いていきたい、そう思っていた。
けれど、どうやらそれは無理らしい。
彼は、私を受け入れる気がこれっぽっちもないんだ。
諦めの悪い私だけれど、どう頑張ったって彼の心だけは動かせない気がした。

「……なんでもない」

答えた私は彼の横をすり抜け、会議室を出た。

少しだけ目頭が熱くなって、ごくりと涙を飲み込んだ。

一緒に歩いてくれないなら、私だけで行くしかない。
大丈夫。今までだってひとりで頑張ってきたんだし。
私ひとりで、何とかしてみせる。

心を奮い立たせるように、そう決意した。
< 128 / 227 >

この作品をシェア

pagetop