イジワル御曹司のギャップに参ってます!
***


「『星宝Lilia』の広報担当に取り次げって?」

スーツの似合わない不揃いな茶髪をかき上げて、三十代前半のその男――『星宝Lilia』営業担当の若部さんが私の言葉を繰り返した。

「お願いします。話を通していただけないでしょうか」

営業部のデスクでふんぞり返る若部さんへ、私は深々と頭を下げた。

「そう言われてもねぇ。それって、俺に何かメリットがあるのかな?」

「そこを何とか、お願いします」

ただひたすらに頭を垂れる私を、若部さんは顎を撫でながらしげしげと眺め「まぁ、可愛い女の子にお願いされるのは、悪い気はしないけれどねぇ」そんな軽口を叩いた。


今日、私は実力行使に出た。
『ジュエルコスメ』と『星宝Lilia』のコラボレーション企画を実現させるために、『星宝Lilia』の営業担当に助力を求めにきたのだ。

真っ向から双方の会社と調整するよりは、裏から手を回し話を通してもらった方が確実性が増す。そんな判断だった。
現在進行中の若部さんとの企画会議の中で、『ジュエルコスメ』との企画について軽くジャブを打ってもらい、相手の出方を伺う。
あわよくば、担当の私へ橋渡しをしてもらう、そんな算段だ。

『ジュエルコスメ』側にはすでに話を通してある。
今日の午前中、『ジュエルコスメ』広報マネージャ相模氏に、『コラボなんて案もありますけれど、どう思われます?』なんて軽く感触を確かめてみたところ、『面白そうじゃないか!』と乗り気な返事をいただいたのだった。

あとは『星宝Lilia』側に話を通すだけだ。
長年、『星宝Lilia』の営業を担当して信頼を獲得している若部さんの口添えがあれば、この企画の現実味が一気に増す。
< 129 / 227 >

この作品をシェア

pagetop