イジワル御曹司のギャップに参ってます!
村正さん――我が社で、知らない人はいないのではないかというくらい、伝説的な人物だ。
いくつもの名企画を成功へ導いてきた村正氏。その手腕は常識をぶち壊すような破天荒なやり方だったと広く知られている。
彼の名声は社中に留まらず、業界内では名の通る人物だった。
だが、しばしば彼の名は悪い表現を例えるときに使われる。
五年ほど前だったか――彼は失脚したのだ。
担当していたプロジェクトを失敗させ、それまでの輝かしい実績全てが無に帰した。目を見張るような派手な転落劇だった。
自ら責任を取ったのか、取らされたのか、『美倉広告企画』を退社した村正氏。
それ以来、この業界で彼の名を聞くことはなくなった。
「彼に可愛がられてたんだよなぁ、氷川くんは。
『ポスト村正』とか呼ばれちゃってさ。
氷川くん自身も、村正さんにべったりだったし。
それなのに、目の前で憧れの存在が失墜させられちゃっただろう?
そりゃあ、この先どうやっていけばいいか分からなくもなるよな」
憐れみを含んだ眼差しで、うんうんと頷く若部さん。
初めて聞かされた私にとっては、寝耳に水で、お伽話にすら聞こえる内容だった。
つまり氷川は、目の前で失脚した村正さんの影響で、豪快な仕事ぶりから一転、堅実すぎる現在のスタイルに路線変更したってこと?
――『氷川さんのこと何も知らないくせに!』――
あのとき青山さんが私に言った台詞は、こういうことだったのだろうか。
いくつもの名企画を成功へ導いてきた村正氏。その手腕は常識をぶち壊すような破天荒なやり方だったと広く知られている。
彼の名声は社中に留まらず、業界内では名の通る人物だった。
だが、しばしば彼の名は悪い表現を例えるときに使われる。
五年ほど前だったか――彼は失脚したのだ。
担当していたプロジェクトを失敗させ、それまでの輝かしい実績全てが無に帰した。目を見張るような派手な転落劇だった。
自ら責任を取ったのか、取らされたのか、『美倉広告企画』を退社した村正氏。
それ以来、この業界で彼の名を聞くことはなくなった。
「彼に可愛がられてたんだよなぁ、氷川くんは。
『ポスト村正』とか呼ばれちゃってさ。
氷川くん自身も、村正さんにべったりだったし。
それなのに、目の前で憧れの存在が失墜させられちゃっただろう?
そりゃあ、この先どうやっていけばいいか分からなくもなるよな」
憐れみを含んだ眼差しで、うんうんと頷く若部さん。
初めて聞かされた私にとっては、寝耳に水で、お伽話にすら聞こえる内容だった。
つまり氷川は、目の前で失脚した村正さんの影響で、豪快な仕事ぶりから一転、堅実すぎる現在のスタイルに路線変更したってこと?
――『氷川さんのこと何も知らないくせに!』――
あのとき青山さんが私に言った台詞は、こういうことだったのだろうか。