イジワル御曹司のギャップに参ってます!
パンッ! と軽い音が弾けた。

コルクはクマの右腕に当たり、わずかに身体を回転させる。が、落とすまでには至らなかった。
お祭りピエロが残念でした~とでもいう風に肩を竦める。

『得意』『見てて』と自信満々だった割には結果が散々で、私は思わずプッと吹き出した。

「笑わないでよー、じゃあ朱石さんもやってみて」
流星は頬を膨らませながら私へ銃を差し出す。

射的なんてやったことないけれど、つまり狙って打てばいいだけだよね?
なんだか簡単そうに見えて、自信満々で銃を受け取った。
見よう見まねでコルクを詰め、自分の右側に構える。

パンッ! と弾けて、手の中で銃がわずかに跳ねた。

弾はクマにかすりもしなかった。
どこへ飛んで行ったのかすら分からず、「あれ?」と首を傾げる私と、ひらひらとおどけるお祭りピエロ。

「ふふ」と横から笑い声がした。目を向けるとドヤ顔でこちらを見下ろしている流星。

「し、仕方ないじゃない! 初めてだったんだから!」

顔を赤くさせる私に流星は
「素直に教えてって言えばいいのに」
そう呟いて私の背中に回る。

両側から彼の手が伸びてきて、私の正面で銃を手に取った。
身体を背後から包み込み込まれて、思わず「わっ」という小さな悲鳴が漏れた。
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