イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「あー。なんか朱石さんが喜ぶようなアトラクションとかないかな……あ、あんなのどう?」

辺りを見回していた流星が、路地を抜けた先に見える大きな施設を指さして言った。

その区画はこれまでとはガラリと趣向を変えた『ゴシック&ロリポップ』をテーマに掲げていた。
黒、紫、ピンクを基調としたダークな、けれど遊び心満載な装飾。ハロウィン風のカボチャや白いお化け、オレンジ色のカボチャ『ジャック・オー・ランタン』が飾り付けられている。

流星が指し示した施設は、真っ黒な外観が横に長く延びたような形の建造物だった。屋根はプラネタリウムみたいに丸くなってる。
入口のところにオレンジ色の血文字で大きく『Trick Or Treat』と書かれていて、ファンシーなお化けが手招いている。

「これは……」

「お化け屋敷、かな?」

「お、お化け屋敷はちょっとぉ……」

私は立ち止まって、先に進もうとする流星の手を引っ張った。
ジェットコースターとかお化け屋敷とか、どうして人はわざわざ恐ろしい場所を好むのだろうか。私には理解できない。

「お化け屋敷も苦手なの?
大丈夫だよ、見なよあの可愛いお化け。怖そうに見える?」

「お化けはお化けじゃない!」

必死に抵抗を示す私を見て、流星は呆れ笑いを浮かべた。

「大丈夫。怖くなったら俺にしがみ付いていればいいよ。ほら、おいで」

優し気な口調とは反比例して、半ば強制的にお化け屋敷へと引きずっていく。
せめて入場待ちの行列でも出来ていれば断る言い訳になったのに、こういうときに限ってスムーズに入れてしまったりする。

「ほら、並んでもないし、たいして怖くないってことじゃないかな」

そんな適当な予想を立てて、流星はお化け屋敷の中へと私を連れ込んだ。
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