イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「求められている……人材?」
眉をひそめる私に、少し困った顔で氷川は答える。

「あーいう、きっちりしたタイプの社員って、あんまりうちの会社にいないでしょう。
同じような性格の人間なんて、たくさんは必要ないからね。
だいたい、そのままの俺とあなたがツートップだったら、随分と勢いだけのどんぶり勘定な部門になりそうでしょ。
『氷川』くらいがちょうどバランス良いんだ」

部門全体のバランス――そんなことは考えたこともなかった。
私がありのままの自分で仕事をしている最中、彼はそんなところに気を使って自身の立ち居振る舞いを決めていたのか。
確かに、私のダメなところを氷川が拾って、あるいはその逆で、理にかなっているのかもしれない。

そんなことをぼんやりと考えていると。

「また難しい顔しているね」

不意に頬を突かれて、飛び上がりそうなほど驚いた。
そんな私を見て「からかいがいがあるなぁ」と流星は嬉しそうにクスクス笑う。

「さて、随分と寄り道してしまったけれど、とうとう本来の目的地だ」

私たちの前に、ヨーロッパの古城を思わせる巨大な白亜の城が立ちふさがる。

このテーマパークを象徴するメインアトラクション『ラブ・キャッスル』へと、とうとう辿り着いたのだった。
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