『ココロ彩る恋』を貴方と……
「風邪薬と栄養ドリンク置いておくわ。他にも食べられるようならプリンとサンドイッチもあるから」


コンビニの袋をサイドテーブルの上に置き、じゃあ…と言って立ち上がる。


「今日は1日休んで。自宅にも帰らなくていいから、この家に居てね」


「えっ……ご迷惑なんじゃ…」


「大丈夫。昂さんから頼まれたのよ。具合が良さそうでも今日は此処に居るように言って欲しいって」


不本意かもしれないけど、彩さんと重ねて見てるんじゃないかしら…と言われた。

それは最初から感じていたことだったから、「そうかもしれませんね…」とだけ答えた。


済まなそうな表情を見せ、河井さんは部屋を出ていく。ドアが閉まるのを眺め、ほぅ…と小さく息を吐いた。



(行ってらっしゃい……)


心の中で囁いた言葉は、幼い頃に母の背中に向けて言った台詞。


行ってもいいけど、帰ってきてね…の意味を込めていた。

あんな母だったけど、私にとってはたった一人の肉親だった。だから、いつも帰りを待っていたんだーー。



「蓋をして食べよう。折角用意してもらったから」


食欲はあまり湧かなかった。

ペリッとサンドイッチのビニールテープを剥がし、もそもそ…と食べ始める。

味気のない食事をしながら、祖父の家で過ごし始めた頃のことを思い出していた。

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