『ココロ彩る恋』を貴方と……
「お爺ちゃんが一番最初に作ってくれた物って何だったっけ」


口を動かしながら考えた。

家に引き取られ、一番最初の食事は何だったろうか。栄養失調気味だった私が食べ易い物だったと思うけど……。


「雑炊とかうどん……だったかな」


食べてもいいのか分からず、眺めていただけだった気がする。

食べると母に怒られる様な気がして、箸も持てなかった思い出がある。


(その時のお爺ちゃんの顔つきはどうだった?)


あまり思い出せないのはどうしてだろう。栄養が足りなくて、脳の発達も遅れていたせいだろうか。


(……でも、言われた言葉だけは覚えてるよね)



『紫音、作って貰ったものはできるだけ口をつけた方がいい。その方が気持ちも一緒に受け取れるからね』


命を頂くと同時に真心も貰うんだ…と教えられた。

そう言われて仕方なく手を伸ばして食べたら、祖父が凄く嬉しそうな顔をして微笑んだ。


『美味しいだろう?』


安心したように笑っていた。

だから、心の中もあったかくなって、ぼろぼろ…と涙が溢れたんだ……。



「…………」


知らず知らずのうちに涙が頬を伝っていた。蓋をし続けてきた思い出には、こんな優しいものもあったんだ。

グスッと鼻や涙を拭ってサンドイッチを食べ終え、ついでに…とプリンの蓋を開けかけた時、コンと小さな音を立ててドアが開いた。


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