『ココロ彩る恋』を貴方と……
「見てれば分かる。入って何がしたい?」


「そ…それは……」


兵藤さんの目に留まり、心の中を明るく照らしてあげたい。彩さんごと体を抱きしめ、痛みや傷を分け合って欲しい。


(でも、それを言うにはまだ早いから……)


「私もモデルになりたいかな…と思ってました」


誤魔化すにしては陳腐な言い訳だった。

笑いもしない兵藤さんの目が、じぃっと私のことを見ている。


(私だと判ってるよね?彩さんと勘違いされてないよね?)


目の奥を覗き込みながら自問した。潤んだ瞳の持ち主は私のことを見直し、小さく開けていた唇を動かした。



「……裸になる覚悟は?」


声を聞いて驚き、ドキンと胸が弾んだ。

何の冗談かと言いたいけど、彼の様子は本気のようにも見える。


目を見開いたまま息を呑んだ。裸になれば、私のことを見てくれる?


数々の失態を思い浮かべながら、今更服を着ていようがいまいが同じだと感じた。

裸になって見てもらえるのなら、お易い御用のようにも思える。


ゴクッと唾を飲み込んで覚悟を決めた。

ドキドキと高鳴ってくる心臓の音を胸に、声を上ずらせながら答えた。


「あ…あります…!」


冷や汗を感じつつ彼の目を見つめ直す。

一瞬大きくなった瞳に映った自分が、強張った表情をしているのが見えた。


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