『ココロ彩る恋』を貴方と……
ーーー兵藤さんの家に住みだしてから3日が過ぎた。

初日の夜は「何処で寝る?」と聞かれ、思わず「和室」と答えてしまった。



「…ふぅん」


呟く彼の眼差しが冷たかった。違う返事を期待していたようで、こっちは妙に焦った。


(何よ。いきなり一緒になんて眠れる訳ないでしょ!)


あんな顔をされると心外だ。
これまで雇い主と家政婦の関係だったのに、急には雰囲気を変えたりすることはできない。


(そもそも私は兵藤さんを好きだと言ってるけど、彼は何も言ってないし)


私のことはどう思っているんだろうか。

今も亡くなった彩さんの代わりみたいに見ているんだろうか?
それとも、やっぱり都合のいい家政婦?


(一緒に住んでて変化ないってのもどうよ!?)


これならアパートから通うのと大差ない。
兵藤さんの生活ぶりは相変わらずで、のんびりと昼近くになって起きてきて、ぼぅっとしたまま籐椅子に座っている。


(あの時って何を考えてるんだろう。それにどうしてキッチンだけはあんなに綺麗に片付けてたの?)


単色志向だった理由だけは初日の夜に教えて貰った。
自分の責任で彩さんが亡くなったのに、彩りのある生活を送ってはいけないと思っていたそうだ。


「君には悪いことをしたと思う。一色だけの食事作りなんてやらせてしまって……」


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