『ココロ彩る恋』を貴方と……
森元所長の奥さんには、それを言わなかったらしい。
(どうりで会った時に不思議そうにしていた訳だ……)
一つ疑問が減ってホッとした。
「もう一色だけの食事じゃなくてもいいよ。難しいことを言って済まなかったね」
謝る兵藤さんに「いえ」と恐縮しながらも躊躇う。
(料理は苦手なんです…と、あの時に言ってしまえば良かったのに……)
相変わらず包丁捌きが上手くならない。どんなに回数をこなしても、料理が上達しない自分が恨めしくて仕方ない。
(河井さんの話では、兵藤さんは料理が得意だということだったけど……)
確かにあの茶碗蒸しは美味しかった。
祖父が作ってくれた物と同じように、丁寧に出汁が取られていたと思う。
(お料理教えて下さい…と頼んだらいけないかな……)
祖父にはそれが言えなかった。
私に美味しい物を作って出すのが、祖父の生き甲斐みたいに思えたから。
(そのせいで糖尿病になった様なもんよね……)
料理人の悲しい性だと言っていた。
『贅沢な物食べてきたからだよ』と、祖父はそう言って笑っていた。
(あの足は笑えるもんじゃなかったけど……)
小さな傷が癒えなくなって、そこから足が黒ずんできた。
糖尿病の末期症状です…と医師に言われ、このままだと血栓を作って命が危ぶまれてしまう…とまで言われた。
(どうりで会った時に不思議そうにしていた訳だ……)
一つ疑問が減ってホッとした。
「もう一色だけの食事じゃなくてもいいよ。難しいことを言って済まなかったね」
謝る兵藤さんに「いえ」と恐縮しながらも躊躇う。
(料理は苦手なんです…と、あの時に言ってしまえば良かったのに……)
相変わらず包丁捌きが上手くならない。どんなに回数をこなしても、料理が上達しない自分が恨めしくて仕方ない。
(河井さんの話では、兵藤さんは料理が得意だということだったけど……)
確かにあの茶碗蒸しは美味しかった。
祖父が作ってくれた物と同じように、丁寧に出汁が取られていたと思う。
(お料理教えて下さい…と頼んだらいけないかな……)
祖父にはそれが言えなかった。
私に美味しい物を作って出すのが、祖父の生き甲斐みたいに思えたから。
(そのせいで糖尿病になった様なもんよね……)
料理人の悲しい性だと言っていた。
『贅沢な物食べてきたからだよ』と、祖父はそう言って笑っていた。
(あの足は笑えるもんじゃなかったけど……)
小さな傷が癒えなくなって、そこから足が黒ずんできた。
糖尿病の末期症状です…と医師に言われ、このままだと血栓を作って命が危ぶまれてしまう…とまで言われた。