『ココロ彩る恋』を貴方と……
「う〜〜ん」


(兵藤さんはどうして私をこの家に呼んだんだろう……)


結局のところ、そこが一番の疑問。私がこの家に居てもいい理由が謎すぎる。


(…駄目だ。これは一人で考えたからと言って解決できるものじゃない)


「本人に聞くしかないか…」



「ーー何を?」


いきなり目の前に顔を出された。


「ぎゃ〜〜!!」


大袈裟に叫び声を上げる。


「ひょ…兵藤さ〜〜ん!」


頼むから不意打ちはやめてーー。


「さっきからずっと呼んでたのに君が振り向かないからだろう」


「えっ…そうだったんですか?」


「難しい顔して考え込んでたようだけど何の話?」


「な、何が?」


「聞くしかないって。何のこと?」


ハッとして彼を見る。
さっき考えていたことを聞いたら、彼の気持ちがわかってしまう。


「あの…兵藤さんって、どうしてキッチンだけは綺麗に片付けてたんだろうって、この家で働きだした頃からの疑問で……」


「ああ、何だ。そんなこと」


またしてもガッカリしたような顔をする。


「私にとっては疑問なんです。他の部屋は片付けもしてなかったのに…」


本当は聞きたいことが他にあっても聞けない。
ただの家政婦として同居を求めた…なんて言われたら、ショックで立ち直れそうにもないから。



「キッチンには嫌なものが出るだろう」


「嫌なもの?」


< 222 / 260 >

この作品をシェア

pagetop