『ココロ彩る恋』を貴方と……
夕食を食べ終わると、兵藤さんは「和室で待ってるから」と言った。


「は…はい…」


ドキッとしながら返事をする。
何処で待とうと彼の家だからいいけど、今は私が和室を使っている。


(どうして彼処なの?リビングでも応接室でもいいのに)


何か理由があるのかと思いながら食器を洗う。
相変わらず食材の飛び散ったコンロを拭きつつ、余計な妄想を働かせていた。


(もしかして、兵藤さんに迫られたりとかする……?)


ないない…と思い直してコーヒーを淹れる。
話をするなら飲み物があった方がいいけど、ブラックでいいんだろうか。


(一応シュガーとミルクも持って行くか)


トレイに2杯分のコーヒーを乗せ、スティックシュガーとミルクを添える。
零さないように…と細心の注意を払いながら歩き、そろそろと和室へ近付いた。


「兵藤さん…」


両手が塞がっているから襖を開けてもらおうと声をかけた。
返事もなく襖が開いて、目の前に紺地の作務衣を着た彼が現れる。


「すみません。遅くなって」


中へ入ろうとすると、手に持っていたトレイが取り上げられ、ふわっと腕が軽くなった。


「ありがとうございます」


目線を上げてお礼を言うと、前にいた人は直ぐに視線を逸らしてしまった。



「いや…」


向きを変えて奥へ進み、木でできた座卓の上にトレイを乗せる。


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