『ココロ彩る恋』を貴方と……
「紫音…」


名前を呼んだ息が首筋にかかり、ドキン…と胸を震わす。
返事もできないくらい気持ちの方が高ぶって、身体中が震えているような感じがする。


(駄目だってば紫音……経験もないのに……)


そう思いながらも、心とは反対に彼の方へ振り向く。
見下ろされている青っぽい目に映る自分を見たら、もうどうにでもなればいい…という気持ちが湧いてきてしまった。



「…シテイイカラ」


声が硬くなる。
それを聞いた彼の方もビクつき、ぎゅっと腕に力が込められた。



「いいのか?」


問いかける声に頷いて胸の内に顔を埋める。


「いいの…」


優しい人の指が髪の毛を掬う。
指に絡む感触を覚えながら、「大事にして…」と声を発した。


「経験したことないんです……」


初めてだと告白した。

人と関わるのは怖かった。
表面上は誰とでも話ができても、何処か距離を置いて付き合っていた。



「大丈夫。優しくするよ」


落ち着いた声の主は、大事そうに私の背中を畳に付ける。
固い感触が直接付かないよう配慮して、自分の腕を下敷きにした。



「紫音…」


耳元に吹き付けた息の熱にゾクッとする。
彼の唇が耳たぶに吸い付き、そのままゆっくりと首筋を這い出す。


(……怖くない。任せておけばいいんだから)


そう思いながらも硬く目を瞑っていた。
身体中に力が入り、余計なまでに心音が募る。


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