『ココロ彩る恋』を貴方と……
積み重ねていく寿司飯と具の層が、まるでミルフィーユの様にも見えるお寿司ケーキ。


「ひっくり返すのが楽しみ〜〜!」


早く夜にならないだろうか。味はともかく、この綺麗な仕上がりを兵藤さんと一緒に楽しみたい。


「そうだ!頑張ってサラダも作ろう!」


祖父は私の為に…といろんな物を作ってくれた。
お寿司ケーキの他にも、今から作るサラダも出てきたことがある。


思い出しながら作っていく途中で、じんわりと胸の奥が熱くなってきた。
私が受けてた体の傷は、こうして祖父が癒し続けてきてくれたんだ。


(それを忘れるなんて……)


今夜、もしもまた兵藤さんに求められたら応じてみよう。
緊張しなくても、彼はきっといい具合に私のことを甘やかしてくれるはず。


(お願いします…と言えばいいんだ。それだけで後はどうにでもなる……)


うんうん…と自分に言い聞かせて作り上げた。

時計を見ると、既に午後6時を回っている。


(どうしよう……起こしに行ってもいいかな……)


実はこの家に住みだしてから彼の部屋には入ったことが一度もない。
何処となく緊張するものを感じて、入りにくさを覚えていた。


(でも、折角料理も作れたし…)


驚かせたい気持ちもあって部屋へと向かった。
オークブラウンのドアの前に立ち、コホン…と小さく咳を吐く。



『コンコン!』


< 243 / 260 >

この作品をシェア

pagetop