『ココロ彩る恋』を貴方と……
先に行ってていいよ…と言い残して走り出した。
足音と背中を見つめながら、ぺたん…と床に座り込む。


「……これって、昨夜の仕返し…?」


怒ってはいけない。
昨日は私が拒否を示しているから、それを思って気を配ってくれただけだ。相手は元からレベルの違う人なんだから、これくらいの行き違いがあっても不思議ではない。


(…でも、さっきなら良かったのに……)


昨日とは違って覚悟ができてた。
機会を変えて…となると、その気になれるかどうかがわからない。



(あ〜〜ん!もうっ!)


もどかしい。
本当に報われないっ!!


ドスドス…と床を踏み鳴らして進んだ。

あれこれとケチを思い浮かべながら食事室へ料理を運び、カトラリーケースを手にキッチンを出たところで彼が戻って来るのが見えた。


「兵藤さん、それは?」


脇に抱えたダンボール箱を指差して聞くと、「後からのお楽しみ」と隠される。


(ちぇっ。ケチだ〜〜)


何から何まで逆恨みばかりする。
本当に私は子供みたいな女だ。



ケーキの代わりに…と作ったお寿司は、ボウルの中でひっくり返されるのを待っていた。

私が返すと落としそうだから…と言い、兵藤さんがひっくり返してくれることになった。


「…いい?いくよ」


ボウルの上に皿を乗せてひっくり返す。テーブルの上に置いてからボウルを軽く叩き、ゆっくりと外しながら窺った。


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