『ココロ彩る恋』を貴方と……
「わぁっ…」

「綺麗だ!」


どちらも同時に声を上げた。
ドーム型のお寿司のケーキは、黄色の卵と赤いイクラとエビ、緑の絹さやに彩られてカラフルだった。


「豪華だなぁ」


「美味しいといいんですけど…」


心配になりながらも切り分けてみる。
三角形になったものを皿の上に乗せ、「はい」と彼に手渡した。


「いただきます!」


箸を手に持った人が声をかけてからパクつく。
その様子を眺めながら、上手く出来ていることを祈った。



「美味いよ」


穴が空きそうな程見つめている私に気づいて言われた。
それがお世辞でもいいや…と思い、サイコロ状に切った野菜サラダを取り分けた。


「これはゴロゴロサラダと言って、お爺ちゃんがよく作ってくれたものなんです」


ジャガイモに人参、セロリにカニカマ、グリンピースにコーン。
いろんな食材を同じくらいの大きさに切って和えるだけの簡単サラダ。


「本当にゴロゴロだね」


スプーンで掬った人はモグモグと噛みしめて味わっている。


「こっちも美味い!」


満足そうにしている顔を見ていると、段々と複雑な気分がしてきた。


「兵藤さんはいつもお世辞が上手…」


逆恨みを言いたい訳でもないけど、自分の料理の腕前は知っている。


「私の料理は出来損ないなのに、いつも『美味しい』って言ってくれる。食べても美味しくない物だってある筈なのに、絶対に貶したりしない」


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