『ココロ彩る恋』を貴方と……
それが嬉しいことだってわかっている。
でも、今は何だか気持ちがささくれ立っていた。


「もっと本当のこと言ってもいいよ。美味しくないなら美味しくないって言われても、別に傷付かないから」


触れてもらいたくても止められたせいだろうか。
褒め言葉も受け入れる気にならなくて、ムッとしたままそっぽを向いた。


兵藤さんは黙って私を見ている。
少しの間があって食事を食べだし、モグモグと噛みしめて声を発した。


「…紫音の作る物は美味いよ」


やはり褒める彼を振り返った。


「君は作る時に不味くなればいいと思いながら作っている訳じゃないだろう?」


そう聞かれて、勿論そうだと答える。

絶対に美味しくなれ…と願いながら作っている。
ただ、どうしても不器用で仕上がりがいつも想定外になるんだ。


「俺はそんな紫音の気持ちも一緒に食べてるつもりだけど。それなのに不味いと言えと言われても……それはやっぱり無理があるよ」


ゴソゴソと足元に置いた箱の中身を開けて取り出す。
50センチ四方の額のような物を見せて、はい…と言いながら手渡された。


「プレゼント。昨夜思いつきで彫ったから、少し荒っぽいけど」


手渡された物を受け取ると、そこには嬉しそうに笑う天然パーマの私が居てーーー


「『天使のご馳走』ってタイトルにしたんだ。君がシチューのお替わりを持ってきた時の顔を思い出して彫った」


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