たった1人のシンデレラガール
「では、改めていらっしゃいませ!」

ホストくんが私たちに名刺を差し出す。

「櫻と言います」

初めて見た"名刺"と言うもの。

桜がヒラヒラと舞っている感じの、

和風な名刺。とても綺麗だった。

「もうわかってると思うけど、
おれ関西出身やねん!」

櫻くんがどんどん話してくれる。

すると、

「失礼しま〜す、瑠華で〜す」

もう1人、櫻くんの横にホストが来た。

「瑠華くんです!よいしょ!」

櫻くんが拍手したのに合わせて、

私たちも拍手をした。

「僕もご一緒にいただいていいですか!」

瑠華くんはとっても元気な人。

「瑠華はな、俺の地元の友達やねん」

「そうなんだ、なんとなく言葉の
イントネーションで関西だろうな〜
とは思ってた!!」

「そう、僕も関西なんです。
櫻とは小学生からの仲なんやで!」

まだ出会って間もなすぎるのに、

私たちは飲みながらワイワイ話した。

見ると、櫻くんだけ水を飲んでいる。

「あれ?櫻くん飲まないの?」

「ああ、俺ね、お酒飲めないねん」

へぇ、お酒飲めなくてもホストできるんだ。

なんか毎日飲んで飲んで飲みまくって

潰れてるイメージ…

「そうなんだ、私も弱い!」

「愛莉もあんまり飲めない〜」

「俺はお酒大好きやで!」

そうこう話しているうちに、

内勤さんらしき人が櫻くんと

瑠華くんの肩をポンポンっと叩いた。

「俺たちはこれで抜けるけど、
これからまだたくさん人来ると思うから
いい人見つけて行ってな!」

なるほど、初回ってそういうシステムか。

「ありがとうごちそうさま!楽しんでね〜」

2人が抜けたのと同時に、

また別のホストくんたちがやってくる。

その繰り返しだった。

誰も楽しくて、1時間なんて

あっという間に過ぎて行った。
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