たった1人のシンデレラガール
時間が経ち、内勤さんが来た。

「失礼します。もうすぐ初回の
お時間となりますが、1人
送り指名をいただきたいのですが.」

「「送り指名…?」」

私と愛莉は「???」状態だ。

すると内勤さんはふっと笑って、

「失礼いたしました。
ホストクラブは、初回のお帰りの際に
1名送り指名と言うものを選んで
いただいております。」

「イケメンだった人、話しが楽しかった人、
誰でもいいので1人エレベーター前までの
送りを選んでいただけますか?」

なるほど。そういうシステムなのか。

私と愛莉は名刺を見比べる。

「愛莉誰も名前覚えてないや…」

「私も…」

顔を合わせてふっと笑う。

「私、あの人がいいな…」

すごくかっこよくて、大人っぽくて、

あまりうるさいタイプではないけど

静かに面白い事を言う人がいた。

でも名前がわからない。

名刺の写真を見ても、みんな

別人のように盛っているので

どの人かが全くわからない。

「ん〜…わかんないし私は櫻くんでいいや!
ここにも連れてきてもらったし!」

「じゃあ私も瑠華くんでいいや」

最初の人のイメージはやはり強い。

2人とも関西弁だったからなおさらかな?

「櫻くんと瑠華くんですね、
かしこまりました。」

内勤さんがいなくなり、少し待っていると

「ありがと〜〜〜う!」

とうるさい関西コンビが再び登場した。
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