タタリアン
 ミイラは人間の姿ではなかっ
た。
 翔太はミイラを女の子に見せ
た。
「……」
「お願い」
 そう言って女の子はトコトコと
謎のレッカー車の方に歩いて行っ
た。
 翔太もミイラを抱えて後に続い
た。
 辺りは夕闇に包まれていた。
 女の子が立ち止まると謎のレッ
カー車の牽引していた黒焦げの自
動車が外された。
 黒焦げの自動車は次第に変形
し、元の真新しい自動車に戻って
いった。
 すると謎のレッカー車から男性
が降りて来て、自動車の後部座席
のドアを開けた。
 女の子が翔太の目を見て何か言
いたそうだった。
「これを乗せてほしんだね」
 翔太は自動車に近づいた。
 自動車の外見は普通だが、車内
は運転する装置がすべて無く、
まったく異質な内装だった。
 翔太はミイラを自動車に乗せて
やった。その後から女の子も自動
車に乗り込んだ。
 男性はドアを閉めると運転席に
乗り込んだ。
 女の子が窓から顔を出し、翔太
に言った。
「ありがとう」
 翔太は手を少し上げて応えた。
 自動車の下から何かが噴射され
ていた。
 翔太は後ずさりをして自動車か
ら離れた。
 自動車はゆっくり浮き上がり、
上昇していった。そして、飛行物
体に変形し、猛スピードで飛び
去った。
 あ然と見送る翔太たち。
< 11 / 63 >

この作品をシェア

pagetop