願 叶
あまりの広さと不思議な感覚に呆然とする私。
見た目と裏腹なこのお店。
すると、三毛猫が中央階段の左隣にある丸テーブルと2つあるイスの所へ向かい、私の方を向いて鳴いた。
私は三毛猫に誘われるがままに、そこに向かいイスに座った。
私が座ったのを確認すると、その三毛猫はまたニャーと鳴き、中央階段の奥のほうへ消えていった。
「ここで、待ってろって?」
猫の言葉なんてわからないけど、そう言っている気がしたのだ。
丸テーブルの上にはまだ温かいコーヒーと読みかけの本が置いてあった。
さっきまで、誰かいたのかなぁ?
私がその本を見ると、訳もわからない字の表紙だった。
その本が気になり触れようとした瞬間、黒いものが私の手を突いた。
「痛っ。」