甘い恋じゃなかった。
「普通、人の顔面に思い切り枕投げるか?修学旅行気分の高校生なのかお前は??」
私に投げつけられたお気に入りの低反発枕が思いのほか痛かったらしい。
桐原さんは私が着替えた後もブツブツと文句を言っていた。
「すみませんでしたって!
そんなことより!」
「おい、そんなこととは何だ」
「桐原さん、普通の料理出来たんですねぇ〜…!!」
私は感動していた。
目の前の机には、桐原さんが作ったオムレツ、焼きベーコン、サラダ、そしてパンケーキが並べられていた。
どうやら私が寝ている間に用意してくれていたらしい。
まるでオシャレなホテルの朝食のよう…!
「別に大したもん作ってないし」
「いやいや!そんなことないですよ!
このオムレツとか造形がめちゃくちゃ美しいですよ!?もはや芸術的です!!」
「何言ってんだ?お前」
といいつつ満更でもなさそうな顔をしていたのを、私は見逃さなかった。