甘い恋じゃなかった。




「いただきま〜す!」


2人で手を合わせ、さっそくパンケーキに手をつける。


うわお…



「このパンケーキ、ふわっふわ…!」


「ふ、まぁな」


「さすが桐原さん!天才!!」



桐原さんを褒め称えながら、パクパクとパンケーキを口に運ぶ私。美味しいものは食べる手が止まらなくなるから困る。



「こんなに美味しいもの作れるならもっと早く作って下さいよ〜!普段全然料理しないの勿体ないじゃないですか!!」


「仕事でずっとケーキ作ってるからか家でまであんまり料理したくねぇんだよ」


「えー?そうなんですか??」


「それに俺はお前の料理が好きだし、食べたい」



サラッとそこまで言って、は、と私を見る桐原さん。どうやら自分のした発言に気付いたらしい。



“お前の料理が好きだし、食べたい”




「…言っとくけど俺が好きって言ってんのは料理だからな」



桐原さんの発言を頭の中でリプレイしている私に、桐原さんが恐る恐る、といった感じで言う。



「う、うううるさいですよ!?
分かってますから!!」



そう!好きなのはあくまで私の作る料理!料理!!まぁ、それでも嬉しいんだけど…!!




「嘘だよ」



不意に桐原さんが私の肩を引き寄せて、チュ、と頰にキスをした。



< 288 / 381 >

この作品をシェア

pagetop