甘い恋じゃなかった。
「いただきま〜す!」
2人で手を合わせ、さっそくパンケーキに手をつける。
うわお…
「このパンケーキ、ふわっふわ…!」
「ふ、まぁな」
「さすが桐原さん!天才!!」
桐原さんを褒め称えながら、パクパクとパンケーキを口に運ぶ私。美味しいものは食べる手が止まらなくなるから困る。
「こんなに美味しいもの作れるならもっと早く作って下さいよ〜!普段全然料理しないの勿体ないじゃないですか!!」
「仕事でずっとケーキ作ってるからか家でまであんまり料理したくねぇんだよ」
「えー?そうなんですか??」
「それに俺はお前の料理が好きだし、食べたい」
サラッとそこまで言って、は、と私を見る桐原さん。どうやら自分のした発言に気付いたらしい。
“お前の料理が好きだし、食べたい”
「…言っとくけど俺が好きって言ってんのは料理だからな」
桐原さんの発言を頭の中でリプレイしている私に、桐原さんが恐る恐る、といった感じで言う。
「う、うううるさいですよ!?
分かってますから!!」
そう!好きなのはあくまで私の作る料理!料理!!まぁ、それでも嬉しいんだけど…!!
「嘘だよ」
不意に桐原さんが私の肩を引き寄せて、チュ、と頰にキスをした。