人事部の女神さまの憂い

ありますけど、と鞄からボールペンを取り出して手渡すと、手に持っていた名刺を裏返して何かを書き始めた。

そして、それをペンと一緒に、はいっ、と私の手に握らせて

「それ、プライベートの連絡先。連絡ちょうだいよ」

名刺と一緒に、ふわっと私の手を両手で包んだ。

その手が、思いの外あったかくて、男らしい大きな手に安心感を覚えた。


キスをされそうになったことよりも、その手に胸がきゅんとなる。


でも、そんな私の気持ちはおかまいなしで、

気になる仕事があるから事務所戻る、といって柏木さんはすぐに会社に向かった。




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