人事部の女神さまの憂い

「ありがとうございます」

何も考えず、素直に受けとろうとすると、身をかがめた柏木さんの唇が近づいてきた。

なので、とっさに名刺を受取ろうとした手で自分の唇をガード。

柏木さんは、ふっと笑ったかと思うと、長い身体を折って爆笑しはじめた。

またからかわれたのかと思って、ムッとしていると

「あー、ゆりちゃん手強いね。こんなこと、されたことないんだけど」

言いながらまだ笑っている。

「もー、からかうなら他あたってください」

ムッとしたまま言うと

「からかってるわけじゃないんだって。あのさ、ペンもってる?」と言ってきた。


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