人事部の女神さまの憂い

「お前遅いからすげー腹減ったんだけど」

それまでは副社長と社員という感じで距離をとっていたものの、ビルを出たとたん文句を言われた。

「すみません、久保くんに捕まっちゃって」

飲みに来るって強引に決めたくせに、と思いながらも一応謝っておく。すると

「待ってる間に調べたんだけど、お前ん家のあたりデリバリー豊富だな。タイ料理とかあってテンション上がったんだけど、今日は寒いからビーフカツな。今、注文しちゃうから住所教えろ」

嬉しそうに勝手に食べるものまで既に決めている。なんで寒いからカツなのかはよくわからないけど、文句を言うのも面倒になって

「そこ、ナチョスも美味しいんで一緒に頼んでください」

食べたいものだけ追加した。

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