人事部の女神さまの憂い

困ったように藤木さんを見ても

「ほら、はっきりさせようぜ」と強い瞳で見つめられる。

それでもまだ決断できずにいると、向こうに気付かれてしまった。

連れの女性とともに、こちらに近づいてくるものの、どんな顔をすればいいのかわからずにうつむいていると

「びっくりした。ゆりちゃんも来てたんだ。いつもと雰囲気違うけど、きれいだね」

何のわだかまりもないように話しかけられた。あまりにも普通すぎるその態度に呆然として何も言えないでいると

「改めてご挨拶するの、初めてでしたよね。藤木と申します」

そう言って横から名刺を差し出す藤木さん。

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