人事部の女神さまの憂い

柏木さんは慣れた手つきでそれを受け取って、自分の名刺も渡した。

「何度かお見掛けしたことあります。ゆりちゃんからもお話し伺ってますよ」

そう言って私に微笑んでくる柏木さんは、いつも通り。大人なんだから、こういう場では大人の対応をすべきなんだ、と思いいたって

「ご無沙汰しています。今日は副社長のおともなんです」

お辞儀をしながら言うと

「そっか。ここの設計、うちが手掛けたんだ。で、彼女はうちの事務所と共同プロジェクト組んでランドスケープの設計してくれている戸田さん」

一緒にいる美女を紹介してくれた。仕事関係の人なんだ、と思いながらも2人の間に漂っている空気は親密そのもの。

とりあえず、私も名刺をとりだしてご挨拶をすると

「柏木くんとは、プライベートのお知り合い?」

と聞かれてしまった。

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