人事部の女神さまの憂い

「あっ、どうも」

咄嗟に言葉がでずに、とりあえず頭だけ下げると、すれ違いざまに、さらっと私の頬を大きな手の甲がかすめた。

びっくりして頭を上げると、軽く頭の横で手を振っている柏木さんの後姿が目に入った。

呆然としていると

「あれ、今のって柏木達也じゃない?」

藤木さんの声で我に返った。

「え、藤木さんお知り合いですか?」

びっくりしていると、逆にびっくりしたような反応の藤木さん。

「え、有名人でしょ。結構、賞とかとってるし。こないだできた上海の商業施設も、あの人の設計ってことで話題になってるし。たまーにだけど、パーティーとかでも見かけるよ。知らなかった?」
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