くれなゐ症候群
生まれ落ちた場所は、恵まれていると言いにくい。


それでも、明確な意志と、悪くない出来の脳みそを与えられている。
美沙はきっとこの町を離れて、生きてゆくだろう。


「あたしも奈緒くらい可愛かったら、玉の輿って手もあったかもしんないけど」


「・・・やめてよ、玉の輿なんて死語だよ」


「可愛い、自体は否定しないんだー」
にやっと、美沙が笑う。


仲のよい友達だけど、こんな時は居心地が悪くなる。
受け流すすべを、奈緒はまだ会得していない。


折よく、というか始業のチャイムが鳴った。
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