くれなゐ症候群
*   *   *


終礼が終わると、美沙が声をかけてきた。

「このあと、まどかたちとカラオケ行かない?」


一瞬、誘惑に心がかたむく。
それでも、奈緒はすまなそうにかぶりを振った。

「ごめんね、今日はお母さんの病院の付き添いがあるんだ」


そっか、と美沙も神妙にうなづく。

高校に入ってからの付き合いだけど、奈緒の家庭の事情のあらかたは、察している。
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