くれなゐ症候群
「今回は殺さずにすんだ」

修二がつぶやきとともに、立ち上がった。

いつのまにか、降りる駅だった。

夜が、いっそう深まっていた。

場末のゴミの町を、二人で歩く。


モルタル塗りの木造家屋の屋根が連なり、あいまにトタン屋根の工場が点々と混じる。

淀んだ夜の川に、町の灯りがにじんで映る。

これが、二人が生きてゆかなければならない場所だ。



こっちへおいで、怖くないよ。


あのとき、自分の手を引いていたのは、翔一だった。
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