くれなゐ症候群
階段を下りかけている修二と、視線の高さは変わらない。
身長の差をあらためて感じる。

むかしはほとんど変わらなかったのに。

大きくとられた窓からななめに入る日ざしに、修二がまぶしげに目を細める。
屈託なく笑う少年の顔を、そこに重ねようとするけれど、うまくいかない。


「よぉ」
ほとんど声に出さず、口の動きだけで修二が言う。


「ん・・・」

足を止めてくれた修二のために、なにか会話を探すけど、なにも出てこない。

すれ違う女生徒が、ちらちらと二人に視線をむけてくるのが分かる。
< 16 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop