くれなゐ症候群
「そんなキレイなもんじゃないよー、ゴメンね」
くくっと、のどの奥で笑ってみせる。


客席から大きな歓声があがる。
一組目のバンドが登場したようだ。

カヲルは興味がない様子で、ふりむきもしない。


「ちゃちな前座バンド」
とひとり言のようにつぶやく。

「ねぇ、あんたは修二の兄貴のこと、知ってる?」

すいと視線が、千香から奈緒にうつされる。


奈緒は小さくうなずいた。
「翔ちゃん・・・ですよね」
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