くれなゐ症候群
あぁ早く出て行きたい、

顔を伏せて、うめくようにつぶやく。


少しでも平均のとれた知性や感性や、向上心といったものを持っていれば、それは当然すぎる願いだ。



「・・・慣れちゃうのが怖いんだ。
この臭いがあたり前になって、鼻がバカになって、自分が臭いのにも気づかなくなったらどうしようって」

むくっと顔を上げる。


「美沙なら、違うところに行けるって」

明るく請け合う。
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