ぬくもり
昨日の夜、妹から電話がきた。



母親が病気で、もう長くないという。


私に話があるから呼んでほしいと、何度も言うらしい。



私を虐待し続けてきたあの人が、今さら何の話があるというのだろう。



私には話す事も無ければ、話す理由もない。


私は家を出たあの日に、あの人達の事は捨てたんだから…



私は、行かないと言った。



もう2度と、電話もくる事はないだろう。


あの人の事を、思い出す事もないだろう。



死のうが生きようが、私にとってはどうでもいい事の筈だった。




なのに、私は今あの家を目指して、司と優と3人で電車に揺られている。



もう離婚も決まった司と一緒に…

あの家を目指してる。

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