向日葵の天秤が傾く時
「衢肖巫莵って……うちの衢肖巫莵ですか?」


「ええ、御社に在籍されてる衢肖巫莵さんで間違いありません。瀑から聞きましたが、砧怙驛さんの先輩に当たる方だとか。」



節は驚き確認するが、阜紆奢はさも当たり前のように言う。



「瀑は衢肖巫莵さんとお付き合い…、所謂男女の関係であると聞いています。衢肖巫莵さんが職場を突然辞められてしまい、行方が分からず探していたようですよ。」


「つ、付き合って……?」



「まあ内容が内容だけに、驚かれるのも無理はありませんね。私も瀑が友人なもので引き受けたのが正直な話ですし、示談の条件も従業員のことですから代わりの方を探す時間も必要でしょう。本日は取り急ぎご説明までに伺っただけですから、細かい話はまた後日という事で。」



説明だけと言う割には衝撃的な爆弾を落として帰って行った阜紆奢。



「戻りました。」


「ただいま。…どうしたの?何かあったの?」



クライアントの元へ出向いていた事務所の稼ぎ頭で弁護士の鵬承鮖(ホウショウ カジカ)とその部下の篁卿焼(タカムラ キョウヤ)が、阜紆奢と入れ違いで帰って来た。


いつもと違う雰囲気に2人は首を傾げる。
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